10月7日(月)の18時30分から日本ハム株式会社の会議室をお借りして第4回ドイツ・ナレッジセミナーを開催しました。講師は、株式会社エヌ・アール・ダブリュージャパン(ドイツのノートライン・ヴェストファーレン州(NRW)経済振興公社日本法人)代表のゲオルグ・K・ロエル(Georg K Löer)氏。テーマは、EU、ドイツ、そして日本~現在、過去、未来 (EU, Deutschland und Japan. Gegenwart, Vergangenheit und Zukunft)というものでした。
そもそもEUがなぜできたのか、その成り立ちに関する歴史的な背景から、その後の急速な発展、そして現状と今EUが抱えている問題(例えば通貨ユーロ、BREXITといわれるイギリスのEUからの離脱、押し寄せる難民など)が紹介されました。EUとは、European Unionの略で、日本語ではヨーロッパ連合、あるいは欧州連合と呼ばれています。ひとことで言えば、ヨーロッパの国々が集まってできた組織・地域統合体ということができます。ヨーロッパが経済だけでなく、社会や政治などの様々な分野で一つにまとまり、共通通貨のユーロを設け、EU加盟国の間の移動時にパスポートチェックなどを簡略化するなどして輸出入時の制限を取り払い、加盟国同士が協力し合って良好な経済関係を築くなどの効果があります。アメリカやロシアと言った強大国と対等に渡り歩くための協力体制が必要との見解から発足しました。
発足当時は、わずか6ヶ国だったものが、現在では旧東ヨーロッパ諸国も加盟し、その数は、28ヶ国になりました。まだまだEUに入りたいという国はあるのですが、加盟条件は、かなり厳格に規定されています。EU加盟国の国民であれば、域内どの国に住んでどこで働いても自由というのは一見理想ですが、加盟国の中にヨーロッパの南北問題があり、ギリシアの経済危機は、記憶に新しいところです。中東情勢の悪化や貧困のために
アフリカから押し寄せる難民問題もEUの団結に暗い影を落としています。10月31日に離脱期限を迎えたイギリスは、合意なき離脱も辞さないとしていたジョンソン首相でしたが、結局離脱を延期せざる得なくなりました。常に拡大を遂げてきたEUにとってイギリスが離脱すれば、初めてのケースであり、加盟国との関税をどうするのか、人の移動はどうなるかなどヨーロッパ諸国の国民でなくとも関心が高いところです。11月に就任予定のドイツ出身のフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長の手腕に期待されているところも多いと感じました。
ロエル氏は、日本でお生まれになったとはいえ、家庭や教育はドイツ語だったはずですが、日本人と同じような滑らかな日本語で講演され、講演内容も大変わかりやすいものでした。ロエル氏のご尽力に感謝申し上げます。(記・事務局・和田)
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